星よみコラム

2025-05-18 19:00:00

星の谷の住人たち|#08 蠍座さんと 星灯(ほしび)まつり

星の谷の住人たち|蠍座さんと 星灯(ほしび)まつり


🌙 星の谷の住人たち

ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆

12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所

星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります

ぜひこの場所で星たちの関係性を
物語で感じてみてくださいね


🍿 星の谷が初めましての方へ
まずは、はじまりの物語をお読みください
[星の谷はじまりの物語へ]


🏕 今回は──
秋の真ん中に生まれた
蠍座さんが主役

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〜 登場する星たちの関係性 〜

・魚座さん:調和/120度
価値観が似ていて安心できる存在

・牡牛座さん:補完/180度
正反対だけど深くつながれる存在

・獅子座さん:緊張/90度
ちょっとムッとすることも...
 でも、刺激をくれる存在
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

📚
#08:蠍座さんと 星灯(ほしび)まつり

星の谷の奥にある資料館──

古い地図や祭りの記録、言い伝え、
表向きは、どこにでもある資料館

でも、いちばん奥の扉の向こうには
最後まで出せなかった手紙や
捨てられない贈りもの

誰かの手放せなかった想いが
そっと、保管されている

それらを、ずっと見守っているのが
蠍座さんの、もうひとつの役目だった

𓂃

資料館を閉めると
蠍座さんは、毎晩どこかへと向かう

ランタンと記録帳を手に向かうのは、
大きな木がある、空にいちばん近い丘──

その木は『星の木』と呼ばれ
もう何年も花を咲かせていない

観察記録が十年たった頃、
枝のひとつに、小さな蕾をみつけた

「いよいよか……」
そう呟くと、彼女はそっと姿勢を正した

𓂃

翌朝、蠍座さんは
蕾の意味を確かめるために
星の谷の古い資料を、そっと読み返していた

────
『星灯(ほしび)まつり』
─ 出典:星の谷のはじまりより ─

星灯まつりとは、
手放せなかった想いや願いを、空へ還すための習わしである。

誰かの準備がととのうと、星の木に蕾がつき、
その想いが空へ還ったとき、心の灯りとなると伝えられている。

— 実施の条件 —
・星の木が蕾をつけた年の、最初の新月に行う
・まつりの合図は、想いの守り人が知らせる
・まつりは、光を創る者の手で執り行うこと
────

蠍座さんは、パタンと資料を閉じた

𓂃

その日の午後、
魚座さんがふわりと、資料館を訪ねてきた

「星の木の上に光が降ってくる夢を見たの」

蠍座さんは 深くうなずいた
「やっぱり……そうだよね」

それだけで、ふたりには十分だった


夕暮れどき、
牡牛座さんが訪ねて来て、ぽつりと言う

「そろそろ あの手紙……手放していいかも」

それは、もう何年も前からある手紙だった

「あなただったのね……」
蠍座さんは、胸の中でつぶやいた

𓂃

翌日、蠍座さんは重い腰を上げ、
演出家の獅子座さんを訪ねた

星の谷で光を創る者──
獅子座さんで、間違いないはず

「次の新月、星灯まつりです」

「ついにきたね!
 最高の光で還す準備をしておくよ」

迷いのない、太陽みたいな笑顔に
蠍座さんは、肩の力が少し抜けた

𓂃

そして、
星灯(ほしび)まつりの夜──

風は止み、星の木のまわりには
もう手放してもいい想いや記憶が
小さな灯りとともに、集まってくる

獅子座さんの合図で
やさしく光を放ちながら、
次々と夜空へ還っていく


夜風にのって𓈒𓏸
魚座さんのハープの音が美しく響いていた

言葉にならない想いたちを
そっと包むような音色だった


ふと、蠍座さんは
牡牛座さんの姿を見つけた

資料館ではまだ少し寂しそうだった顔に
やわらかな笑顔が咲いていた

「これが、星灯まつりか……」

蠍座さんの心にも
小さな灯りが、ともった

𓂃

翌朝の資料館、
とくに変わったようすはない

でも、奥の扉に眠る想いたちは
どこか、やわらかく 息づいているようだった

星の谷の奥深く──

蠍座さんは、今日も変わらず
まだ手放せない想いたちを
静かに、見守っています𓂃𓈒𓏸


星と月とくらす Yuri  

𓂃

📗 星の谷|キャラ図鑑

♏︎

Scorpio

記憶と想いを、静かに見守るひと

▪︎特技
オーラで語る(本人は無自覚)
プロローグで犯人を察する

▪︎趣味
星の木の観察日記(そろそろ10年目)
推しの記念日を、こっそりケーキでお祝い

▪︎元気になる色
ボルドー、アッシュピンク

▪︎癒されるアロマ
サンダルウッド、パチュリ、ローズ

〜 村の資料館の管理人 〜

村の奥にある資料館には
古い言い伝えや、
誰かの出せなかった手紙が眠っている
 
そこを静かに見守るのが、
蠍座さんの役目
 
一度、心で結んだものは
かんたんにはほどけない
 
それを特別だとも思わない

「だって、そういうものだから」
 
本音は、深いところに住んでいて
ちょっとやそっとじゃ出てこない
(本人も、たまに行方を見失ってる)
 
お気に入りの詩集と
昔から変わらないパッケージのお菓子
それがあれば、心がやすらぐ
 
誰にも見せないけど
よく見て、よく覚えてる
でも、言わない
 
その背中に、ふっと安心する人もいる
 
今日もそっと、村の奥の扉の向こうで
誰かの想いを、だいじに守っている𓂃𓈒𓏸
 
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