星よみコラム

2025-08-13 13:50:00

星の谷 12星座一覧

2025-05-30 18:30:00

星の谷の住人たち|#12 魚座さんと、月の光につつまれる夜

星の谷の住人たち|魚座さんと、月の光につつまれる夜


🌙 星の谷の住人たち

ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆

12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所

星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります

ぜひこの場所で星たちの関係性を
物語で感じてみてくださいね


🍿 星の谷が初めましての方へ
まずは、はじまりの物語をお読みください
[星の谷はじまりの物語へ]


🏕 今回は──
冬と春の間に生まれた
魚座さんが主役

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〜 登場する星たちの関係性 〜

・蟹座さん:調和/120度
価値観が似ていて安心できる存在

・乙女座さん:補完/180度
正反対だけど深くつながれる存在

・射手座さん:緊張/90度
ちょっとムッとすることも...
 でも、刺激をくれる存在
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

📚
#12:魚座さんと、月の光につつまれる夜

星の谷のはずれ、湖のほとり──
満月の日、魚座さんは小さな書斎で
夢の続きを綴っていた

「これは、たぶん…あの人の気持ちだな」

誰かの涙の余韻
言葉になる前の想い

誰にも頼まれていないけれど
魚座さんはそれを受けとっている

書きあげた詩は
新聞の小さなコラム欄にそっと差し出す

そして、いつものように
最後にひとこと添えておく

* * *

今夜、湖に月の光がかかります
“心のサウナ” そっとひらきます
ととのうかどうかは、月しだい𓂃𓈒𓏸

* * *


夜空に満月が輝くころ
魚座さんは湖へと向かった

月の光をたどって
ひとつひとつ石を並べながら
やわらかく語りかける

「今日はこの子が真ん中かな」
石たちはうれしそうに月光浴していた

キャンドルに火を灯すと、
水面がやさしくきらめく

──それはまるで、月のしずくのようだった

𓂃

「今日はちょっと冷えるから、
 ひざ掛け持ってきたよ」

そう言って現れたのは、蟹座さん

水筒に入ったハーブティー
マイキャンドル、ヨガマット──

さすが “心のサウナ”の常連である

「これがないと、
 わたしの一ヶ月は はじまらないの」

そうつぶやいて、静かにヨガマットを広げる

魚座さんが ふと話しかける
「今日のハーブティー、月のハーブなんだね」

蟹座さんはにこっと笑って
湯気のたつカップをそっと差し出した

「はいどうぞ……あなたもゆっくりしてね」

魚座さんはうれしそうにカップを受け取った

𓂃

そのあとすぐに、乙女座さんがやってきた
手にはきれいにラベルが貼られた紙袋

────
月光浴ブレンド:ハーブ3種入り
(カモミール+レモンバーム+ローズ)
────


「“心のサウナ”って書いてたから、
 ドライハーブ持ってきたよ」

「……蒸すのは、気持ちなの」

魚座さんのひとことに
蟹座さんが吹き出しそうになっている


乙女座さんは、少し首をかしげていたけれど

魚座さんがすぐにフットバスを用意して
ドライハーブを浮かべてくれた

蒸気と香りに包まれながら
乙女座さんは静かに月を見上げた

𓂃

最後にやってきたのは、射手座さん

「来るつもりなかったけどさ
 歩いてたら、足が勝手にここに向いてた」

そう言って、草の上にごろんと寝転ぶと
胸ポケットから、小さな袋を取り出した

「これ、旅で拾った“星のカケラ”
 願いが叶うって言われてたけど……
 何を願えばいいかわかんなくてさ」


魚座さんは“星のカケラ”を受け取り
しばらく目を閉じて、ぽつりとつぶやいた

「……この子が、ここに連れてきてくれたのね
 願ってなくても、ほんとうに欲しいものって
 ちゃんと届くのかもしれないよ」


射手座さんは、ふっと笑う
「たしかに……癒やされたかったのかも」

その横顔には、いつもの自由なまなざしと
言葉にならないやわらかさがにじんでいた

𓂃

星の谷のはずれ、湖のほとり──
満月の夜だけ そっとひらかれる、“心のサウナ”

それぞれが、それぞれのままで
月の光のもとにあつまる夜

魚座さんの不思議な空気につつまれながら

星の谷の住人たちは
不思議と心がかるくなっているのでした𓂃𓈒𓏸


星と月とくらす Yuri  

𓂃

📗 星の谷|キャラ図鑑

♓︎

Pisces

夢と音をあつめるひと

▪︎特技
夢の中でも、会話ができる
言葉になる前の気持ちを受けとる

▪︎趣味
お昼寝(夢の続きを見にいくのが日課)
お気に入りの石と一緒に月光浴する

▪︎元気になる色
ミストブルー、シェルピンク

▪︎癒されるアロマ
ジャスミン、ローズウッド、ミルラ

〜 星の谷の詩人 〜

星の谷の幻想的な湖のほとり──
そこには魚座さんの小さな暮らしがある
 
現実と夢の間を、ふわふわ歩きながら
 
水面に月がひかる夜は、
ボートに寝転び 空を見上げる
 
そして、昨日の夢の続きをたしかめる
 
詩や音、香りや夢──
ことばになる前の“なにか”を集めては
 
誰かの想いにそっと寄り添う
 
いちばん揺れてる誰かに
自然と共鳴しては
 
「まだ手を離したくない」って
思ってしまうのは、きっと彼女
 
感情があふれて、迷子になったり
その想いが、いつのまにか
村をカオスに巻きこむこともある
 
だけど、その寄り添う手に
救われる誰かがいるのも、たしかなこと
 
今日もまた──
魚座さんからあふれだした想いが
谷のどこかを やさしく包みこむ𓂃𓏸
 
2025-05-28 13:30:00

星の谷の住人たち|#11 水瓶座さんと、風と未来の放送局

星の谷の住人たち|水瓶座さんと、風と未来の放送局


🌙 星の谷の住人たち

ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆

12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所

星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります

ぜひこの場所で星たちの関係性を
物語で感じてみてくださいね


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まずは、はじまりの物語をお読みください
[星の谷はじまりの物語へ]


🏕 今回は──
冬の真ん中に生まれた
水瓶座さんが主役

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〜 登場する星たちの関係性 〜

・双子座さん:調和/120度
価値観が似ていて安心できる存在

・獅子座さん:補完/180度
正反対だけど深くつながれる存在

・蠍座さん:緊張/90度
ちょっとムッとすることも...
 でも、刺激をくれる存在
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

📚
#11:水瓶座さんと、風と未来の放送局

水瓶座さんは、
朝からめずらしく、そわそわしていた

今日は、ラボ広場にできた放送局が
はじめて音を鳴らす日だった

きっかけは、
いつかの双子座さんとのやりとり──
「この村にも、放送局、つくろうよ」

ふたりの「わくわくの種」が
星の谷に、ここからひろがっていく

𓂃

その日の正午、
できたばかりの放送局から
はじまりの音楽が流れ出す𓂃♪

「はろはろ〜♪ DJ双子です!」

「いよいよ本日より、
 “風と未来のラジオ”はじまりまーす!」

マイクの前には、
双子座さんとゲストの獅子座さん

水瓶座さんは、
ブースの隅で黙々と音量を調整していた

ことばの風が、ちゃんと届いているか──
一番深く聴いていたのは、水瓶座さんだった

𓂃

番組の終わり、
双子座さんがハガキを取り出した

「さ〜て、お悩みコーナーのお時間♪
 “未来の風にきいてみた”です!」

────
ラジオネーム:「深海の民」

もう何年も推し活をしています。
でも、恥ずかしくてライブには行けません。  
周りにも“好き”って言えていなくて……

この前、推しカラーのグッズを見つけて、
「ちょっとならバレないかも」と思ったけど、
結局、買えませんでした。

このまま、こっそり応援していてもいいのでしょうか?
────

「うれしいなぁ♪
 こういうの、来てほしかったんだよね」

𓂃

「獅子座さん、どう思います?」

獅子座さんは少し考えてから、
やわらかく口を開いた

「“好き”って、出せない日もありますよね」

「でも、心の中にあるなら、その気持ちは、
 もう十分届いてるんだと思います」

「おおお、沁みる…」

双子座さんがうなずいたあと、
ブースの隅を向く

「水瓶座さんは?どう思う?」

「……ぼく、ただの機材係なんだけど」

水瓶座さんは、つぶやきながら
静かにマイクのボリュームを上げた

「こっそり応援するって、
 その人だけの静かな自由だと思うんです」

「誰に言わなくても、見せなくても
 その気持ちを自分で大事にできてたら…

 それだけで、
 もうすごく美しいんじゃないかなって」


一瞬、スタジオの空気がやわらかくなる𓂃

ひとりは光のあたたかさで  
もうひとりは、風のまなざしで──  
それぞれの“好き”をそっと肯定していた

𓂃

「どっちも名言すぎる…ステッカーにしよ」

双子座さんは、封筒をごそごそした

「“深海の民”さん、ありがとうございました!
 名言入りステッカー、送っておきます♪」

「……今、作ったの?」
水瓶座さんがつぶやく


双子座さんは
にこっとウインクしてみせた

「さて来週も〜」  
双子座さんが軽やかにマイクに向かう

「水瓶座さんと一緒に、
 みなさんのお悩みに風を送りまーす♪」

「……ぼく、ただの機材係なんだけど」

水瓶座さんの声が流れた頃には  
エンディング曲が始まっていた──


今日もまた、水瓶座さんは
星の谷を吹きぬける それぞれの風に

「そのままでいい」と、
小さくうなずいてくれるのでした𓂃𓈒𓏸


──数日後、資料館の蠍座さんの机の上  

名言ステッカーと、推しカラーの花が
そっと飾られていたらしい𓂃


星と月とくらす Yuri  

𓂃

📗 星の谷|キャラ図鑑

♒︎

Aquarius

未来からひらめきを受信するひと

▪︎特技
当たり前に染まらない
新しいものに、すぐ手をのばせる

▪︎趣味
拾ったものから、未来の道具をつくる
ミステリーサークルづくり
(宇宙人の気持ちを知るためらしい)

▪︎元気になる色
ペールブルー、シルバーグレー

▪︎癒されるアロマ
ユーカリ、ネロリ、ミルラ

〜 風と未来のラボ広場の館長 〜

星の谷の風がよく通る丘に
『風と未来のラボ広場』がある
 
宇宙交信アンテナ
植物の声をひろうマイク
AIが答えてくれるポスト──
 
そこにいるのが、水瓶座さん
 
いつの間にか「館長」と呼ばれている
名乗ったこともないし、気にしてない
 
誰にでもフラットで
人でもAIでも、宇宙人でも
同じ距離で話すひと
 
本人は、特別なことだとは思っていない
ただ、同じように話してるだけ
 
感情だけに流されることもない

でも、“不公平な風”が吹いているときは
ふいに、声をあげることがある
 
そのときの火は、静かで、まっすぐ
 
夜になると、塔の上で
空と交信しているらしい
 
ふいにひとつ、ひらめきが降りてきて
そこからいつも、あたらしい風がうまれている𓂃𓈒𓏸
 
2025-05-22 18:00:00

星の谷の住人たち|#10 山羊座さんが、はじまりを支えるとき

星の谷の住人たち|山羊座さんが、はじまりを支えるとき


🌙 星の谷の住人たち

ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆

12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所

星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります

ぜひこの場所で星たちの関係性を
物語で感じてみてくださいね


🍿 星の谷が初めましての方へ
まずは、はじまりの物語をお読みください
[星の谷はじまりの物語へ]


🏕 今回は──
冬のはじまりに生まれた
山羊座さんが主役

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〜 登場する星たちの関係性 〜

・牡牛座さん:調和/120度
価値観が似ていて安心できる存在

・蟹座さん:補完/180度
正反対だけど深くつながれる存在

・天秤座さん:緊張/90度
ちょっとムッとすることも...
 でも、刺激をくれる存在
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

📚
#10:山羊座さんが、はじまりを支えるとき

今回は、星の谷のみんなが
もう少し若かった頃のお話し𓂃𓈒𓏸

「やっぱり、わたしには無理かも……」

蟹座さんはバスケットを抱えて、
足元を見つめていた

その中には、
新しい食堂の試作スープが入っている

あたたかい湯気とやさしい香り
けれど、本人は浮かない顔だった

「……誰も来なかったら、どうしよう」

山羊座さんは
蟹座さんのとなりに立ち、ぽつりと言った

「じゃあ、ちょっと寄り道しようか」

𓂃

まず訪れたのは、アンティーク雑貨店
──牡牛座さんのお店

店に入ると、
木と紅茶の香りにふわりと包まれる

「牡牛座さんが、
 初めて相談に来たときはね……」

山羊座さんが話しかけたとき、

「なにも説明できなかったよね」
牡牛座さんが、微笑みながらあらわれた

「“たぶん、こういうのが落ち着く”って、
 それしか言えなかったの」

山羊座さんも、そっと笑う
「でも、それが一番、伝わってたと思うよ」

「言葉が足りなくても、山羊座さんは、
ちゃんと“わたし”を読んでくれたんだと思う」


そう言って牡牛座さんは、
茶葉の缶を手渡してくれた

「新しいお店にどうぞ
 わたしのいちばんのお気に入り」

蟹座さんは、胸に抱くように受け取った

𓂃

つぎに訪れたのは、村のギャラリーカフェ
──天秤座さんのお店

柱の前に立つと、
山羊座さんがふっと苦笑いする

「……ここはね、正直、大変だった」

「えっ、そうなの!?」

目を丸くする蟹座さんの前に
ライラック色のストールが揺れる

「ようこそ〜♪
 今日は建築現場じゃなくておさんぽ?」

天秤座さんは嬉しそうに
思い出し笑いをこぼす

「あのとき、
 山羊座さんすごい顔してたよね〜」

「“この柱、細いほうが可愛い!”って、
 10回は言った!」

山羊座さんは肩をすくませながら、
「……結果的に、この柱、人気なんだよな」
と、ポツリ


天秤座さんはくすくす笑いながら、
店の奥から小箱を持ってきた

「これ、あなたのお店にも合うと思う」
中には、真鍮の小さなベル

「音って、気配にもなるから
 ドアにつけるといいよ♪」

蟹座さんが、ベルをそっと鳴らす
カラン、と軽やかな音が響いた

𓂃

帰り道、ふたりは少しだけ静かに歩いた

蟹座さんが、
ふと立ち止まってつぶやいた

「……ねえ、あの草の広場に
 食堂があったら、どう思う?」

山羊座さんは、
すこしだけ口元をゆるめて答えた

「朝の光がよく入るし、風も通る──
 火を入れるには、ちょうどいい場所だと思う」

蟹座さんは、小さくうなずいた

「……わたし、やってみようかな」

その言葉を、
山羊座さんは、ただ静かに受けとった

𓂃

── それから数年後
あの広場には、朝から湯気のたつ食堂がある

窓を開け、火を入れるのは、
あの日の蟹座さん

山羊座さんが、
ゆるんできたテーブルの脚をしめていると

「ちょっと、朝から飛ばしすぎよ〜」

蟹座さんの声がふわりと飛んできた

そして、甘さひかえめのプリンが
そっと差し出される

不安そうに足元を見ていた
蟹座さんはもういない──


今日もまた、山羊座さんは
星の谷で土台をととのえながら
みんなの未来を、静かに支えている𓂃𓈒𓏸


星と月とくらす Yuri  

𓂃

📗 星の谷|キャラ図鑑

♑︎

Capricorn

未来の土台を、そっとととのえるひと

▪︎特技
海外でも小さなかばんひとつで行ける
集合場所にいつも一番はやく着いてる

▪︎趣味
毎朝、同じ手順でコーヒーを淹れて整う
村の滝めぐり(滝行したいと思ってる)

▪︎元気になる色
モスグリーン、スモーキーラベンダー

▪︎癒されるアロマ
ベチバー、サイプレス、フランキンセンス

〜 村の建築士 〜

村の建築士である山羊座さんは、
完成図が見えてから動きだす
 
だから、無駄がない
慌てない、途中でブレない
 
落ち着いて見えるのは
やることが決まっているから
 
自分にも人にも、まっすぐでいたいひと
 
そのまなざしに“厳しさ”を感じるときは、
きっと、どこかにごまかしがあるとき
 
本気でがんばってる人には
とってもあたたかい
 
優しさは、だいたい行動で伝えるタイプ
 
誰かを引っ張ろうとはしない
でも、仕組みや土台を整えて
気づけば、みんなが立てる場所をつくってる
 
「山羊座さんがいると安心する」
って言葉に弱いのは、ヒミツ
 
今日も──
山羊座さんがつくった基盤のうえで
この谷の暮らしがまわっていく𓂃𓈒𓏸
 
2025-05-19 19:00:00

星の谷の住人たち|#09 射手座さんが、新しい地図を広げるとき

星の谷の住人たち|射手座さんが、新しい地図を広げるとき


🌙 星の谷の住人たち

ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆

12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所

星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります

ぜひこの場所で星たちの関係性を
物語で感じてみてくださいね


🍿 星の谷が初めましての方へ
まずは、はじまりの物語をお読みください
[星の谷はじまりの物語へ]


🏕 今回は──
秋と冬の間に生まれた
射手座さんが主役

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〜 登場する星たちの関係性 〜

・牡羊座さん:調和/120度
価値観が似ていて安心できる存在

・双子座さん:補完/180度
正反対だけど深くつながれる存在

・乙女座さん:緊張/90度
ちょっとムッとすることも...
 でも、刺激をくれる存在
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#09:射手座さんが、新しい地図を広げるとき

射手座さんは
毎晩、焚き火をしながら
夜空を見上げるのが日課だった

その夜は、
火の揺れ方がいつもと違っていた

なんとなく気付いていた──
(そろそろ “どこか” が呼んでいる)

……それは まだ知らない自分の声かもしれない

空を見上げて、そう思ったとき
ある人の顔が浮かんだ

𓂃

翌朝、向かったのは、
いつものハーブ屋さん

「遅かったわね、今日も」

乙女座さんが、
カウンターの奥から現れて、腰に手をあてる

「今週中に取りに来てって言ったに…
 聞いてたの?」

「うん、うん、聞いてたよ〜
 でも、今日は来たから、セーフでしょ?」

「ぎりぎりね」

射手座さんはちょっと笑って
出されたブレンドハーブを受け取った


「財布は? 地図は? あと、メモとか」

「あるある……たぶん」

「“たぶん”って何よ」

乙女座さんはあきれながらも
小さな袋を差し出した

飴、絆創膏、予備のタオル──

「いつもありがとう
 ……これで、安心して迷えるや」

乙女座さんはため息をひとつ

「ほんと、ほっとけないんだから」

とブツブツ言いながら、
いつもの仕事に戻っていった

𓂃

広場を通ると風のように、
双子座さんが駆け寄ってきた

「ねぇねぇ聞いて!地図にない場所に
 星のカケラが落ちてたらしいの
 拾ったら願いが叶うって話で──」

「……それ、どこの情報?」

「となり村の誰かの
 誰か……の夢の話かも?笑」

射手座さんは、ふと立ち止まった

(ワクワクする…
 でも、それって本当に探す意味があるのかな?)


風の音が、
すこし遠くなったような気がした

𓂃

そのとき、背後から声がした

「……ワクワクするなら、行ってみない?」

びっくりして、ふり返ると──

牡羊座さんが準備万端の顔で
リュックを背負い、空を見上げている

「……って、なんでいるの? 
 誘ってないけど?笑」

「風がいい感じだったから」

どこまでもピュアで、まっすぐな目

「ほら、行こうよ!」

射手座さんは肩をすくめて、ふっと笑った

始まりの火をくれるのは、やっぱりこの人だ


空を見上げると
雲のかたちは、さっきよりも自由で
風もまた、ゆっくりと動きはじめていた

「さぁ、出発しよう!」

射手座さんと牡羊座さんの足音が
風の音とまじわりながら重なっていく

𓂃

射手座さんが旅に出るのは
まだ知らない自分に出会うため

そして、その背中が
誰かの 新しい地図をそっとひらくこともある

星の谷には、射手座さんの
「あなたはどこへ行きたい?」の声が

今日もあたたかい風にのって、
ひろがっていくのです𓂃𓈒𓏸


星と月とくらす Yuri  

𓂃

📗 星の谷|キャラ図鑑

♐︎

Sagittarius

まだ見ぬ世界へ、わくわくを届けるひと

▪︎特技
フェスも哲学も、全力で楽しめる
風の匂いで方向とタイミングがわかる

▪︎趣味
偉人の名言をこっそり手帳に書きためる
旅に出る(ちょっとそこまでが別の国)

▪︎元気になる色
ターコイズブルー、サフランイエロー

▪︎癒されるアロマ
ジュニパー、メイチャン、ベルガモット

〜 村の旅の案内人 〜

地図とコンパスを片手に
「こっち、行ってみない?」
と、風のように誘う
 
知らないことにワクワクして
答えのない問いにも、真っすぐ夢中になれるひと
 
「ほんとうの幸せって、なんだろう?」
 
そんな話をする時間が、
実はいちばん好きだったりする
 
誰といても自然体でいられるけど──

いつの間にか、
自分のリズムを置いてきてしまうことがある
 
でも、旅に出ればすぐ思い出す
「やっぱり、世界はおもしろい」ってこと
 
「後悔? してるヒマないって〜!」
 
そう言って笑う声が、気づけば誰かの
旅のはじまりになっている𓂃𓈒𓏸
 
そして旅から帰ると──
たいてい財布をどこかに忘れている
(それもまた冒険)
 
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