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星の谷の住人たち|魚座さんと、月の光につつまれる夜
ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆
12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所
🕯 星の谷のはじまりのお話しは こちらから
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
🌕 星たちの関係性を、物語で感じてみよう𓂃
星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります
心地よく響きあったり
真逆だけど惹かれあったり
ときにはすれ違ったり──
読んでいくうちに
星たちの“関係性”も感じてみてくださいね𓂃𓈒𓏸
今回は──
❄️冬と春の間に生まれた、魚座さんが主役
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
♓︎ 魚座さん|夢と音をあつめるひと
〜 星の谷の詩人 〜
星の谷の幻想的な湖のほとり──
そこには魚座さんの小さな暮らしがある
現実と夢のあいだを、ふわふわ歩きながら
水面に月がひかる夜は、
ボートに寝転び 空を見上げる
そして、昨日の夢の続きをたしかめる
詩や音、香りや夢──
ことばになる前の“なにか”を集めては
誰かの想いにそっと寄り添う
いちばん揺れてる誰かに
自然と共鳴しては
「まだ手を離したくない」って
思ってしまうのは、きっと彼女
感情があふれて、迷子になったり
その想いが、いつのまにか
村をカオスに巻きこむこともある
だけど、その寄り添う手に
救われる誰かがいるのも、たしかなこと
今日もまた──
魚座さんからあふれだした想いが
谷のどこかを やさしく包みこむ𓂃𓏸
𓂃
🌿 魚座さんの小さなプロフィール
⋆特技⋆
夢の中でも、会話ができる
言葉になる前の気持ちを受けとる
(誰の気持ちだったか、迷子になることも)
⋆趣味⋆
お昼寝(夢の続きを見にいくのが日課)
満月の夜は、お気に入りの石を月光浴させる
(ついでに自分も浄化)
⋆元気になる色⋆
ミストブルー、シェルピンク
⋆癒されるアロマ⋆
ジャスミン、ローズウッド、ミルラ
𓂃
🏕️ 星の谷のワンシーン
〜 今回、登場する星たちの関係性 〜
◎ 蟹座さん:価値観が似ていて安心できる存在
(調和/120度)
◎ 乙女座さん:正反対だけど深くつながれる存在
(補完/180度)
◎ 射手座さん:ちょっとムッとすることも...
でも、刺激をくれる存在(緊張/90度)
さて、どんなふうに関わっているか
物語の中で感じてみてください𓂃𓈒𓏸
𓂃
🍿 星の谷をのぞく前に𓂃
この物語に出てくるキャラたちは
星座(サイン)の特徴を
純度100%・生搾り(!?)で描いております𓈒𓂂
現実のわたしたちは
いろんな星(天体)の性質が混ざり合って生きているので
「いや、私こんな性格ちゃうねんけど!?」
と思っても、ご安心を^^
星の谷では
各サインの“純粋なテンション”だけで
ゆるっとお届けしています
どこかに、自分のかけらが見つかるかも ──
そんな気持ちで、のんびり読んでもらえたらうれしいです◎
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
📚『 魚座さんと、月の光につつまれる夜 』
星の谷のはずれ、湖のほとり──
満月の日、魚座さんは小さな書斎で
夢の続きを綴っていた
「これは、たぶん…あの人の気持ちだな」
誰かの涙の余韻
言葉になる前の想い
誰にも頼まれていないけれど
魚座さんはそれを受けとっている
書きあげた詩は
新聞の小さなコラム欄にそっと差し出す
そして、いつものように
最後にひとこと添えておく
* * *
今夜、湖に月の光がかかります
“心のサウナ” そっとひらきます
ととのうかどうかは、月しだい𓂃𓈒𓏸
* * *
夜空に満月が輝くころ
魚座さんは湖へと向かった
月の光をたどって
ひとつひとつ石を並べながら
やわらかく語りかける
「今日はこの子が真ん中かな」
石たちはうれしそうに月光浴していた
キャンドルに火を灯すと、
水面がやさしくきらめく
──それはまるで、月のしずくのようだった
「今日はちょっと冷えるから、
ひざ掛け持ってきたよ」
そう言って現れたのは、蟹座さん
水筒に入ったハーブティー
マイキャンドル、ヨガマット──
さすが “心のサウナ”の常連である
「これがないと、
わたしの一ヶ月は はじまらないの」
そうつぶやいて、静かにヨガマットを広げる
魚座さんが ふと話しかける
「今日のハーブティー、月のハーブなんだね」
蟹座さんはにこっと笑って
湯気のたつカップをそっと差し出した
「はいどうぞ……あなたもゆっくりしてね」
魚座さんはうれしそうにカップを受け取った
そのあとすぐに、乙女座さんがやってきた
手にはきれいにラベルが貼られた紙袋
────
月光浴ブレンド:ハーブ3種入り
(カモミール+レモンバーム+ローズ)
────
「“心のサウナ”って書いてたから、
ドライハーブ持ってきたよ」
「……蒸すのは、気持ちなの」
魚座さんのひとことに
蟹座さんが吹き出しそうになっている
乙女座さんは、少し首をかしげていたけれど
魚座さんがすぐにフットバスを用意して
ドライハーブを浮かべてくれた
蒸気と香りに包まれながら
乙女座さんは静かに月を見上げた
最後にやってきたのは、射手座さん
「来るつもりなかったけどさ
歩いてたら、足が勝手にここに向いてた」
そう言って、草の上にごろんと寝転ぶと
胸ポケットから、小さな袋を取り出した
「これ、旅で拾った“星のカケラ”
願いが叶うって言われてたけど……
何を願えばいいかわかんなくてさ」
魚座さんは“星のカケラ”を受け取り
しばらく目を閉じて、ぽつりとつぶやいた
「……この子が、ここに連れてきてくれたのね
願ってなくても、ほんとうに欲しいものって
ちゃんと届くのかもしれないよ」
射手座さんは、ふっと笑う
「たしかに……癒やされたかったのかも」
その横顔には、いつもの自由なまなざしと
言葉にならないやわらかさがにじんでいた
星の谷のはずれ、湖のほとり──
満月の夜だけ そっとひらかれる、“心のサウナ”
それぞれが、それぞれのままで
月の光のもとにあつまる夜
魚座さんの不思議な空気につつまれながら
星の谷の住人たちは
不思議と心がかるくなっているのでした𓂃𓈒𓏸
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
次回からは、
星の谷の「12の場所」ご案内します𓂃
また、静かな村の風景のなかでお待ちしています🕯
星と月とくらす Yuri
星の谷の住人たち|水瓶座さんと、風と未来の放送局
ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆
12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所
🕯 星の谷のはじまりのお話しは こちらから
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
🌕 星たちの関係性を、物語で感じてみよう𓂃
星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります
心地よく響きあったり
真逆だけど惹かれあったり
ときにはすれ違ったり──
読んでいくうちに
星たちの“関係性”も感じてみてくださいね𓂃𓈒𓏸
今回は──
❄️冬の真ん中に生まれた、水瓶座さんが主役
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
♒︎ 水瓶座さん|未来からひらめきを受信するひと
〜 風と未来のラボ広場の館長 〜
星の谷の風がよく通る丘に
『風と未来のラボ広場』がある
宇宙交信アンテナ
植物の声をひろうマイク
AIが答えてくれるポスト──
そこにいるのが、水瓶座さん
いつの間にか「館長」と呼ばれている
名乗ったこともないし、気にしてもいない
誰にでもフラットで
人でもAIでも、宇宙人でも
同じ距離で話すひと
本人は、特別なことだとは思っていない
ただ、同じように話してるだけ
感情だけに流されることもない
でも、“不公平な風”が吹いているときは
ふいに、声をあげることがある
そのときの火は、静かで、まっすぐ
夜になると、塔の上で
空と交信しているらしい
ふいにひとつ、ひらめきが降りてきて
そこからいつも、あたらしい風がうまれている𓂃𓈒𓏸
𓂃
🌿 水瓶座さんの小さなプロフィール
⋆特技⋆
当たり前に染まらない
新しいものに、ちゅうちょせず手をのばせる
(だいたい一番乗り)
⋆趣味⋆
拾ったものをラボで洗って、未来の道具をつくる
ミステリーサークルづくり
(宇宙人の気持ちになって描いてたら、七不思議になってる)
⋆元気になる色⋆
ペールブルー、シルバーグレー
⋆癒されるアロマ⋆
ユーカリ、ネロリ、ミルラ
𓂃
🏕️ 星の谷のワンシーン
〜 今回、登場する星たちの関係性 〜
◎ 双子座さん:価値観が似ていて安心できる存在
(調和/120度)
◎ 獅子座さん:正反対だけど深くつながれる存在
(補完/180度)
◎ 蠍座さん:ちょっとムッとすることも...
でも、刺激をくれる存在(緊張/90度)
さて、どんなふうに関わっているか
物語の中で感じてみてください𓂃𓈒𓏸
𓂃
🍿 星の谷をのぞく前に𓂃
この物語に出てくるキャラたちは
星座(サイン)の特徴を
純度100%・生搾り(!?)で描いております𓈒𓂂
現実のわたしたちは
いろんな星(天体)の性質が混ざり合って生きているので
「いや、私こんな性格ちゃうねんけど!?」
と思っても、ご安心を^^
星の谷では
各サインの“純粋なテンション”だけで
ゆるっとお届けしています
どこかに、自分のかけらが見つかるかも ──
そんな気持ちで、のんびり読んでもらえたらうれしいです◎
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
📚『 水瓶座さんと、風と未来の放送局 』
水瓶座さんは、
朝からめずらしく、そわそわしていた
今日は、ラボ広場にできた放送局が
はじめて音を鳴らす日だった
きっかけは、
いつかの双子座さんとのやりとり──
「この村にも、放送局、つくろうよ」
ふたりの「わくわくの種」が
星の谷に、ここからひろがっていく
その日の正午、
できたばかりの放送局から
はじまりの音楽が流れ出す𓂃♪
「はろはろ〜♪ DJ双子です!」
「いよいよ本日より、
“風と未来のラジオ”はじまりまーす!」
マイクの前には、
双子座さんとゲストの獅子座さん
水瓶座さんは、
ブースの隅で黙々と音量を調整していた
ことばの風が、ちゃんと届いているか──
一番深く聴いていたのは、水瓶座さんだった
番組の終わり、
双子座さんがハガキを取り出した
「さ〜て、お悩みコーナーのお時間♪
“未来の風にきいてみた”です!」
────
ラジオネーム:「深海の民」
もう何年も推し活をしています。
でも、恥ずかしくてライブには行けません。
周りにも“好き”って言えていなくて……
この前、推しカラーのグッズを見つけて、
「ちょっとならバレないかも」と思ったけど、
結局、買えませんでした。
このまま、こっそり応援していてもいいのでしょうか?
────
「うれしいなぁ♪
こういうの、来てほしかったんだよね」
「獅子座さん、どう思います?」
獅子座さんは少し考えてから、
やわらかく口を開いた
「“好き”って、出せない日もありますよね」
「でも、心の中にあるなら、その気持ちは、
もう十分届いてるんだと思います」
「おおお、沁みる…」
双子座さんがうなずいたあと、
ブースの隅を向く
「水瓶座さんは?どう思う?」
「……ぼく、ただの機材係なんだけど」
水瓶座さんは、つぶやきながら
静かにマイクのボリュームを上げた
「こっそり応援するって、
その人だけの静かな自由だと思うんです」
「誰に言わなくても、見せなくても
その気持ちを自分で大事にできてたら
それだけで、もうすごく美しいんじゃないかなって」
一瞬、スタジオの空気がやわらかくなる𓂃
ひとりは光のあたたかさで
もうひとりは、風のまなざしで──
それぞれの“好き”をそっと肯定していた
「どっちも名言すぎる…ステッカーにしよ」
双子座さんは、封筒をごそごそした
「“深海の民”さん、ありがとうございました!
名言入りステッカー、送っておきます♪」
「……今、作ったの?」
水瓶座さんがつぶやく
双子座さんは
にこっとウインクしてみせた
「さて来週も〜」
双子座さんが軽やかにマイクに向かう
「水瓶座さんと一緒に、
みなさんのお悩みに風を送りまーす♪」
「……ぼく、ただの機材係なんだけど」
水瓶座さんの声が流れた頃には
エンディング曲が始まっていた──
今日もまた、水瓶座さんは
星の谷を吹きぬける それぞれの風に
「そのままでいい」と、小さくうなずいてくれるのでした𓂃𓈒𓏸
──数日後、資料館の蠍座さんの机の上
名言ステッカーと、推しカラーの花が
そっと飾られていたらしい𓂃
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
次回は、星の谷で冬と春の間に生まれた
魚座さんをご紹介しますね𓂃
また、静かな村の風景のなかでお待ちしています🕯
星と月とくらす Yuri
星の谷の住人たち|山羊座さんが、はじまりを支えるとき
ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆
12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所
🕯 星の谷のはじまりのお話しは こちらから
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
🌕 星たちの関係性を、物語で感じてみよう𓂃
星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります
心地よく響きあったり
真逆だけど惹かれあったり
ときにはすれ違ったり──
読んでいくうちに
星たちの“関係性”も感じてみてくださいね𓂃𓈒𓏸
今回は──
❄️冬のはじまりに生まれた、山羊座さんが主役
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
♑︎ 山羊座さん|未来の土台を、そっとととのえるひと
〜 村の建築士 〜
村の建築士である山羊座さんは、
完成図が見えてから動きだす
だから、無駄がない
慌てない、途中でブレない
落ち着いて見えるのは
やることが決まっているから
自分にも人にも、まっすぐでいたいひと
そのまなざしに“厳しさ”を感じるときは、
きっと、どこかにごまかしがあるとき
本気でがんばってる人には
とってもあたたかい
やさしさは、だいたい行動で伝わるタイプ
誰かを引っ張ろうとはしない
でも、仕組みや土台を整えて
気づけば、みんなが立てる場所をつくってる
「山羊座さんがいると安心する」
って言葉に弱いのは、ヒミツ
今日も──
山羊座さんがつくった基盤のうえで
この谷の暮らしがまわっていく𓂃𓈒𓏸
𓂃
🌿 山羊座さんの小さなプロフィール
⋆特技⋆
海外旅行でも小さなかばんひとつで行ける
集合場所にいつも一番はやく着いてる
(先回りのプロと呼ばれてる)
⋆趣味⋆
毎朝、同じ手順でコーヒーを淹れて整う
村の滝めぐり(いつか滝行したいと思ってる)
⋆元気になる色⋆
モスグリーン、スモーキーラベンダー
⋆癒されるアロマ⋆
ベチバー、サイプレス、フランキンセンス
𓂃
🏕️ 星の谷のワンシーン
〜 今回、登場する星たちの関係性 〜
◎ 牡牛座さん:価値観が似ていて安心できる存在
(調和/120度)
◎ 蟹座さん:正反対だけど深くつながれる存在
(補完/180度)
◎ 天秤座さん:ちょっとムッとすることも...
でも、刺激をくれる存在(緊張/90度)
さて、どんなふうに関わっているか
物語の中で感じてみてください𓂃𓈒𓏸
𓂃
🍿 星の谷をのぞく前に𓂃
この物語に出てくるキャラたちは
星座(サイン)の特徴を
純度100%・生搾り(!?)で描いております𓈒𓂂
現実のわたしたちは
いろんな星(天体)の性質が混ざり合って生きているので
「いや、私こんな性格ちゃうねんけど!?」
と思っても、ご安心を^^
星の谷では
各サインの“純粋なテンション”だけで
ゆるっとお届けしています
どこかに、自分のかけらが見つかるかも ──
そんな気持ちで、のんびり読んでもらえたらうれしいです◎
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
📚『 山羊座さんが、はじまりを支えるとき 』
今回は、星の谷のみんなが
もう少し若かった頃のお話し𓂃𓈒𓏸
「やっぱり、わたしには無理かも……」
蟹座さんはバスケットを抱えて、
足元を見つめていた
その中には、
新しい食堂の試作スープが入っている
あたたかい湯気とやさしい香り
けれど、本人は浮かない顔だった
「……誰も来なかったら、どうしよう」
山羊座さんは
蟹座さんのとなりに立ち、ぽつりと言った
「じゃあ、ちょっと寄り道しようか」
まず訪れたのは、アンティーク雑貨店
──牡牛座さんのお店
店に入ると、
木と紅茶の香りにふわりと包まれる
「牡牛座さんが、
初めて相談に来たときはね……」
山羊座さんが話しかけたとき、
「……何も説明できなかったよね」
牡牛座さんが、微笑みながらあらわれた
「“たぶん、こういうのが落ち着く”って、
それしか言えなかったの」
山羊座さんも、そっと笑う
「でも、それが一番、伝わってたと思うよ」
「言葉が足りなくても、山羊座さんは、
ちゃんと“わたし”を読んでくれたんだと思う」
そう言って牡牛座さんは、
茶葉の缶を手渡してくれた
「新しいお店にどうぞ
わたしのいちばんのお気に入り」
蟹座さんは、胸に抱くように受け取った
つぎに訪れたのは、村のギャラリーカフェ
──天秤座さんのお店
柱の前に立つと、
山羊座さんがふっと苦笑いする
「……ここはね、正直、大変だった」
「えっ、そうなの!?」
目を丸くする蟹座さんの前に
ライラック色のストールが揺れる
「ようこそ〜♪
今日は建築現場じゃなくておさんぽ?」
天秤座さんは嬉しそうに
思い出し笑いをこぼす
「あのとき、山羊座さんすごい顔してたよね〜」
「“この柱、細いほうが可愛い!”って、10回は言った!」
山羊座さんは肩をすくませながら、
「……結果的に、この柱、人気なんだよな」とポツリ
天秤座さんはくすくす笑いながら、
店の奥から小箱を持ってきた
「これ、あなたのお店にも合うと思う」
中には、真鍮の小さなベル
「音って、気配にもなるから
ドアにつけるといいよ♪」
蟹座さんが、ベルをそっと鳴らす
カラン、と軽やかな音が響いた
帰り道、ふたりは少しだけ静かに歩いた
蟹座さんが、
ふと立ち止まってつぶやいた
「……ねえ、
あの草の広場に食堂があったら、どう思う?」
山羊座さんは、
すこしだけ口元をゆるめて答えた
「朝の光がよく入るし、風も通る
──火を入れるには、ちょうどいい場所だと思う」
蟹座さんは、小さくうなずいた
「……わたし、やってみようかな」
その言葉を、
山羊座さんは、ただ静かに受けとった
── それから数年後
あの広場には、朝から湯気のたつ食堂がある
窓を開け、火を入れるのは、
あの日の蟹座さん
山羊座さんが、
ゆるんできたテーブルの脚をしめていると
「ちょっと、朝から飛ばしすぎよ〜」
蟹座さんの声がふわりと飛んできた
そして、甘さひかえめのプリンが
そっと差し出される
不安そうに足元を見ていた
蟹座さんはもういない──
今日もまた、山羊座さんは
星の谷で土台をととのえながら
みんなの未来を、静かに支えている𓂃𓈒𓏸
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次回は、星の谷で冬の真ん中に生まれた
水瓶座さんをご紹介しますね𓂃
また、静かな村の風景のなかでお待ちしています🕯
星と月とくらす Yuri
星の谷の住人たち|射手座さんが、新しい地図を広げるとき
ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆
12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所
🕯 星の谷のはじまりのお話しは こちらから
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
🌕 星たちの関係性を、物語で感じてみよう𓂃
星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります
心地よく響きあったり
真逆だけど惹かれあったり
ときにはすれ違ったり──
読んでいくうちに
星たちの“関係性”も感じてみてくださいね𓂃𓈒𓏸
今回は──
🫖秋と冬の間に生まれた、射手座さんが主役
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♐︎ 射手座さん|まだ見ぬ世界へ、わくわくを届けるひと
〜 村の旅の案内人 〜
地図とコンパスを片手に
「こっち、行ってみない?」と風のように誘う
知らないことにワクワクして
答えのない問いにも、真っすぐ夢中になれるひと
「ほんとうの幸せって、なんだろう?」
そんな話をする時間が、
実はいちばん好きだったりする
誰といても自然体でいられるけど、
いつの間にか、自分のリズムを置いてきてしまうことがある
でも、旅に出ればすぐ思い出す
「やっぱり、世界はおもしろい」ってこと
「後悔? してるヒマないって〜!」
そう言って笑う声が
気づけば誰かの旅のはじまりになっている𓂃𓈒𓏸
そして旅から帰ると──
たいてい財布をどこかに忘れている
(それもまた冒険)
𓂃
🌿 射手座さんの小さなプロフィール
⋆特技⋆
フェスも哲学も、全力で楽しめる
風の匂いで方向とタイミングがわかる
⋆趣味⋆
偉人の名言をこっそり手帳に書きためる
思いつきで旅に出る
(ちょっとそこまでが別の国)
⋆元気になる色⋆
ターコイズブルー、サフランイエロー
⋆癒されるアロマ⋆
ジュニパー、メイチャン、ベルガモット
𓂃
🏕️ 星の谷のワンシーン
〜 今回、登場する星たちの関係性 〜
◎ 牡羊座さん:価値観が似ていて安心できる存在
(調和/120度)
◎ 双子座さん:正反対だけど深くつながれる存在
(補完/180度)
◎ 乙女座さん:ちょっとムッとすることも...
でも、刺激をくれる存在(緊張/90度)
さて、どんなふうに関わっているか
物語の中で感じてみてください𓂃𓈒𓏸
𓂃
🍿 星の谷をのぞく前に𓂃
この物語に出てくるキャラたちは
星座(サイン)の特徴を
純度100%・生搾り(!?)で描いております𓈒𓂂
現実のわたしたちは
いろんな星(天体)の性質が混ざり合って生きているので
「いや、私こんな性格ちゃうねんけど!?」
と思っても、ご安心を^^
星の谷では
各サインの“純粋なテンション”だけで
ゆるっとお届けしています
どこかに、自分のかけらが見つかるかも ──
そんな気持ちで、のんびり読んでもらえたらうれしいです◎
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📚『 射手座さんが、新しい地図を広げるとき 』
射手座さんは
毎晩、焚き火をしながら
夜空を見上げるのが日課だった
その夜は、
火の揺れ方がいつもと違っていた
なんとなく気付いていた──
(そろそろ “どこか” が呼んでいる)
……それは まだ知らない自分の声かもしれない
空を見上げて、そう思ったとき
ある人の顔が浮かんだ
翌朝、向かったのは、
いつものハーブ屋さん
「遅かったわね、今日も」
乙女座さんが、
カウンターの奥から現れて、腰に手をあてる
「今週中に取りに来てって言ったの、聞いてた?」
「うん、うん、聞いてたよ〜
……でも、今日は来たから、セーフでしょ?」
「ぎりぎりね」
射手座さんはちょっと笑って
出されたブレンドハーブを受け取った
「財布は? 地図は? あと、メモとか」
「あるある……たぶん」
「“たぶん”って何よ」
乙女座さんはあきれながらも
小さな袋を差し出した
飴、絆創膏、予備のタオル──
「いつもありがとう
……これで、安心して迷えるや」
乙女座さんはため息をひとつ
「ほんと、ほっとけないんだから」
とブツブツ言いながら、
いつもの仕事に戻っていった
広場を通ると風のように、
双子座さんが駆け寄ってきた
「ねぇねぇ聞いて!地図にない場所に
星のカケラが落ちてたらしいの
拾ったら願いが叶うって話で──」
「……それ、どこの情報?」
「となり村の誰かの
誰か……の夢の話かも?笑」
射手座さんは、ふと立ち止まった
(ワクワクする…でも、それって本当に探す意味があるのかな?)
風の音が、
すこし遠くなったような気がした
そのとき、背後から声がした
「……ワクワクするなら、行ってみない?」
びっくりして、ふり返ると──
牡羊座さんが準備万端の顔で
リュックを背負い、空を見上げている
「……って、なんでいるの?
誘ってないけど?笑」
「風がいい感じだったから」
どこまでもピュアで、まっすぐな目
「ほら、行こうよ!」
射手座さんは肩をすくめて、ふっと笑った
(始まりの火をくれるのは、やっぱりこの人だ)
空を見上げると
雲のかたちは、さっきよりも自由で
風もまた、ゆっくりと動きはじめていた
「さぁ、出発しよう!」
射手座さんと牡羊座さんの足音が
風の音とまじわりながら重なっていく
射手座さんが旅に出るのは
まだ知らない自分に出会うため
そして、その背中が
誰かの 新しい地図をそっとひらくこともある
星の谷には、今日も射手座さんの
「あなたはどこへ行きたい?」の声が
あたたかい風にのって、ひろがっていくのです𓂃𓈒𓏸
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
次回は、星の谷で冬の始まりに生まれた
山羊座さんをご紹介しますね𓂃
また、静かな村の風景のなかでお待ちしています🕯
星と月とくらす Yuri
星の谷の住人たち|蠍座さんと 星灯(ほしび)まつり
ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆
12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所
🕯 星の谷のはじまりのお話しは こちらから
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
🌕 星たちの関係性を、物語で感じてみよう𓂃
星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります
心地よく響きあったり
真逆だけど惹かれあったり
ときにはすれ違ったり──
読んでいくうちに
星たちの“関係性”も感じてみてくださいね𓂃𓈒𓏸
今回は──
🫖秋の真ん中に生まれた、蠍座さんが主役
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♏︎ 蠍座さん|記憶と想いを、静かに見守るひと
〜 村の資料館の管理人 〜
村の奥にある資料館には
古い言い伝えや、誰かの出せなかった手紙が眠っている
そこを静かに見守るのが、蠍座さんの役目
一度、心で結んだものは
かんたんにはほどけない
それを特別だとも思わない
「だって、そういうものだから」
本音は、深いところに住んでいて
ちょっとやそっとじゃ出てこない
(本人も、たまに行方を見失ってる)
お気に入りの詩集と
昔から変わらないパッケージのお菓子
それがあれば、心がやすらぐ
誰にも見せないけど
よく見て、よく覚えてる
でも、言わない
その背中に、ふっと安心する人もいる
今日もそっと
村の奥の扉の向こうで
だれかの想いを、だいじに守っている𓂃𓈒𓏸
𓂃
🌿 蠍座さんの小さなプロフィール
⋆特技⋆
オーラで語る(本人は無自覚らしい)
プロローグで犯人を察する(でも言わない)
⋆趣味⋆
星の木の観察日記(そろそろ10年目)
推しの記念日を、こっそりケーキでお祝い
⋆元気になる色⋆
ボルドー、アッシュピンク
⋆癒されるアロマ⋆
サンダルウッド、パチュリ、ローズ
𓂃
🏕️ 星の谷のワンシーン
〜 今回、登場する星たちの関係性 〜
◎ 魚座さん:価値観が似ていて安心できる存在
(調和/120度)
◎ 牡牛座さん:正反対だけど深くつながれる存在
(補完/180度)
◎ 獅子座さん:ちょっとムッとすることも...
でも、刺激をくれる存在(緊張/90度)
さて、どんなふうに関わっているか
物語の中で感じてみてください𓂃𓈒𓏸
𓂃
🍿 星の谷をのぞく前に𓂃
この物語に出てくるキャラたちは
星座(サイン)の特徴を
純度100%・生搾り(!?)で描いております𓈒𓂂
現実のわたしたちは
いろんな星(天体)の性質が混ざり合って生きているので
「いや、私こんな性格ちゃうねんけど!?」
と思っても、ご安心を^^
星の谷では
各サインの“純粋なテンション”だけで
ゆるっとお届けしています
どこかに、自分のかけらが見つかるかも ──
そんな気持ちで、のんびり読んでもらえたらうれしいです◎
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📚『 蠍座さんと 星灯(ほしび)まつり 』
星の谷の奥にある資料館──
古い地図や祭りの記録、言い伝え、
表向きは、どこにでもある資料館
でも、いちばん奥の扉の向こうには
最後まで出せなかった手紙や
捨てられない贈りもの
誰かの手放せなかった想いが
そっと、保管されている
それらを、ずっと見守っているのが
蠍座さんの、もうひとつの役目だった
資料館を閉めると
蠍座さんは、毎晩どこかへと向かう
ランタンと記録帳を手に向かうのは、
大きな木がある、空にいちばん近い丘──
その木は『星の木』と呼ばれ
もう何年も花を咲かせていない
観察記録が十年たった頃、
枝のひとつに、小さな蕾をみつけた
「いよいよか……」
そう呟くと、彼女はそっと姿勢を正した
翌朝、蠍座さんは
蕾の意味を確かめるために
星の谷の古い資料を、そっと読み返していた
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『星灯(ほしび)まつり』
─ 出典:星の谷のはじまりより ─
星灯まつりとは、
手放せなかった想いや願いを、空へ還すための習わしである。
誰かの準備がととのうと、星の木に蕾がつき、
その想いが空へ還ったとき、心の灯りとなると伝えられている。
— 実施の条件 —
・星の木が蕾をつけた年の、最初の新月に行うこと
・まつりの合図は、想いの守り人が知らせること
・まつりは、光を創る者の手で執り行うこと
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蠍座さんは、パタンと資料を閉じた
その日の午後、
魚座さんがふわりと、資料館を訪ねてきた
「星の木の上に光が降ってくる夢を見たの」
蠍座さんは 深くうなずいた
「やっぱり……そうだよね」
それだけで、ふたりには十分だった
夕暮れどき、
資料館に牡牛座さんが訪ねて来て、ぽつりと言う
「そろそろ あの手紙……手放していいかも」
それは、もう何年も前からある手紙だった
「あなただったのね……」
蠍座さんは、胸の中でつぶやいた
翌日、蠍座さんは重い腰を上げ、
演出家の獅子座さんを訪ねた
星の谷で光を創る者──
獅子座さんで、間違いないはず
「次の新月、星灯まつりです」
「ついにきたね!
最高の光で還す準備をしておくよ」
迷いのない、太陽みたいな笑顔に
蠍座さんは、肩の力が少し抜けた
そして、
星灯(ほしび)まつりの夜──
風は止み、星の木のまわりには
もう手放してもいい想いや記憶が
小さな灯りとともに、集まってくる
獅子座さんの合図で
やさしく光を放ちながら、
次々と夜空へ還っていく
夜風にのって
魚座さんのハープの音が美しく響いていた
言葉にならない想いたちを
そっと包むような音色だった
ふと、蠍座さんは
牡牛座さんの姿を見つけた
資料館ではまだ少し寂しそうだった顔に
やわらかな笑顔が咲いていた
「これが、星灯まつりか……」
蠍座さんの心にも
小さな灯りが、ともった
翌朝の資料館、
とくに変わったようすはない
でも、奥の扉に眠る想いたちは
どこか、やわらかく 息づいているようだった
星の谷の奥深く──
蠍座さんは、今日も変わらず
まだ手放せない想いたちを
静かに、見守っています𓂃𓈒𓏸
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次回は、星の谷で秋と冬の間に生まれた
射手座さんをご紹介しますね𓂃
また、静かな村の風景のなかでお待ちしています🕯
星と月とくらす Yuri