星よみコラム

2025-05-30 18:30:00

星の谷の住人たち|魚座さんと、月の光につつまれる夜

魚座さん.PNG


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🌙 星の谷の住人たち

ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆
12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所

🕯 星の谷のはじまりのお話しは こちらから

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

🌕 星たちの関係性を、物語で感じてみよう𓂃

星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります

心地よく響きあったり
真逆だけど惹かれあったり
ときにはすれ違ったり──

読んでいくうちに
星たちの“関係性”も感じてみてくださいね𓂃𓈒𓏸


今回は──
❄️冬と春の間に生まれた、魚座さんが主役

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

♓︎ 魚座さん|夢と音をあつめるひと

〜 星の谷の詩人 〜

星の谷の幻想的な湖のほとり──
そこには魚座さんの小さな暮らしがある

現実と夢のあいだを、ふわふわ歩きながら

水面に月がひかる夜は、
ボートに寝転び 空を見上げる

そして、昨日の夢の続きをたしかめる

詩や音、香りや夢──
ことばになる前の“なにか”を集めては

誰かの想いにそっと寄り添う

いちばん揺れてる誰かに
自然と共鳴しては

「まだ手を離したくない」って
思ってしまうのは、きっと彼女

感情があふれて、迷子になったり
その想いが、いつのまにか
村をカオスに巻きこむこともある

だけど、その寄り添う手に
救われる誰かがいるのも、たしかなこと

今日もまた──
魚座さんからあふれだした想いが
谷のどこかを やさしく包みこむ𓂃𓏸


𓂃

🌿 魚座さんの小さなプロフィール

⋆特技⋆
夢の中でも、会話ができる
言葉になる前の気持ちを受けとる
(誰の気持ちだったか、迷子になることも)

⋆趣味⋆
お昼寝(夢の続きを見にいくのが日課)
満月の夜は、お気に入りの石を月光浴させる  
(ついでに自分も浄化)

⋆元気になる色⋆
ミストブルー、シェルピンク

⋆癒されるアロマ⋆
ジャスミン、ローズウッド、ミルラ

𓂃

🏕️ 星の谷のワンシーン

〜 今回、登場する星たちの関係性 〜

◎ 蟹座さん:価値観が似ていて安心できる存在
 (調和/120度)
  
◎ 乙女座さん:正反対だけど深くつながれる存在
 (補完180度)
  
◎ 射手座さん:ちょっとムッとすることも...
  でも、刺激をくれる存在(緊張90度)

さて、どんなふうに関わっているか
物語の中で感じてみてください𓂃𓈒𓏸

𓂃

🍿 星の谷をのぞく前に𓂃

この物語に出てくるキャラたちは 
星座(サイン)の特徴を
純度100%・生搾り(!?)で描いております𓈒𓂂

現実のわたしたちは  
いろんな星(天体)の性質が混ざり合って生きているので

「いや、私こんな性格ちゃうねんけど!?」
と思っても、ご安心を^^

星の谷では
各サインの“純粋なテンション”だけで  
ゆるっとお届けしています

どこかに、自分のかけらが見つかるかも ──  
そんな気持ちで、のんびり読んでもらえたらうれしいです◎


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📚『 魚座さんと、月の光につつまれる夜 』

星の谷のはずれ、湖のほとり──
満月の日、魚座さんは小さな書斎で
夢の続きを綴っていた

「これは、たぶん…あの人の気持ちだな」

誰かの涙の余韻
言葉になる前の想い

誰にも頼まれていないけれど
魚座さんはそれを受けとっている

書きあげた詩は
新聞の小さなコラム欄にそっと差し出す

そして、いつものように
最後にひとこと添えておく

* * *

今夜、湖に月の光がかかります
“心のサウナ” そっとひらきます
ととのうかどうかは、月しだい𓂃𓈒𓏸

* * *



夜空に満月が輝くころ
魚座さんは湖へと向かった

月の光をたどって
ひとつひとつ石を並べながら
やわらかく語りかける

「今日はこの子が真ん中かな」
石たちはうれしそうに月光浴していた

キャンドルに火を灯すと、
水面がやさしくきらめく

──それはまるで、月のしずくのようだった



「今日はちょっと冷えるから、
 ひざ掛け持ってきたよ」

そう言って現れたのは、蟹座さん

水筒に入ったハーブティー
マイキャンドル、ヨガマット──

さすが “心のサウナ”の常連である

「これがないと、
 わたしの一ヶ月は はじまらないの」
そうつぶやいて、静かにヨガマットを広げる

魚座さんが ふと話しかける
「今日のハーブティー、月のハーブなんだね」

蟹座さんはにこっと笑って
湯気のたつカップをそっと差し出した

「はいどうぞ……あなたもゆっくりしてね」

魚座さんはうれしそうにカップを受け取った



そのあとすぐに、乙女座さんがやってきた

手にはきれいにラベルが貼られた紙袋
────
月光浴ブレンド:ハーブ3種入り
(カモミール+レモンバーム+ローズ)
────

「“心のサウナ”って書いてたから、
 ドライハーブ持ってきたよ」


「……蒸すのは、気持ちなの」

魚座さんのひとことに
蟹座さんが吹き出しそうになっている


乙女座さんは、少し首をかしげていたけれど
魚座さんがすぐにフットバスを用意して
ドライハーブを浮かべてくれた

蒸気と香りに包まれながら
乙女座さんは静かに月を見上げた



最後にやってきたのは、射手座さん
「来るつもりなかったけどさ
 歩いてたら、足が勝手にここに向いてた」

そう言って、草の上にごろんと寝転ぶと
胸ポケットから、小さな袋を取り出した

「これ、旅で拾った“星のカケラ”
 願いが叶うって言われてたけど……
 何を願えばいいかわかんなくてさ」

魚座さんは“星のカケラ”を受け取り
しばらく目を閉じて、ぽつりとつぶやいた

「……この子が、ここに連れてきてくれたのね
 願ってなくても、ほんとうに欲しいものって
 ちゃんと届くのかもしれないよ」

射手座さんは、ふっと笑う
「たしかに……癒やされたかったのかも」

その横顔には、いつもの自由なまなざしと
言葉にならないやわらかさがにじんでいた



星の谷のはずれ、湖のほとり──
満月の夜だけ そっとひらかれる、“心のサウナ”

それぞれが、それぞれのままで
月の光のもとにあつまる夜

魚座さんの不思議な空気につつまれながら

星の谷の住人たちは
不思議と心がかるくなっているのでした𓂃𓈒𓏸


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次回からは、
星の谷の「12の場所」ご案内します𓂃

また、静かな村の風景のなかでお待ちしています🕯


星と月とくらす Yuri 


2025-05-28 13:30:00

星の谷の住人たち|水瓶座さんと、風と未来の放送局

水瓶座さん.png


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🌙 星の谷の住人たち

ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆
12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所

🕯 星の谷のはじまりのお話しは こちらから

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🌕 星たちの関係性を、物語で感じてみよう𓂃

星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります

心地よく響きあったり
真逆だけど惹かれあったり
ときにはすれ違ったり──

読んでいくうちに
星たちの“関係性”も感じてみてくださいね𓂃𓈒𓏸


今回は──
❄️冬の真ん中に生まれた、水瓶座さんが主役

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♒︎ 水瓶座さん|未来からひらめきを受信するひと


〜 風と未来のラボ広場の館長 〜

星の谷の風がよく通る丘に
『風と未来のラボ広場』がある

宇宙交信アンテナ
植物の声をひろうマイク
AIが答えてくれるポスト──

そこにいるのが、水瓶座さん

いつの間にか「館長」と呼ばれている
名乗ったこともないし、気にしてもいない

誰にでもフラットで
人でもAIでも、宇宙人でも
同じ距離で話すひと

本人は、特別なことだとは思っていない
ただ、同じように話してるだけ

感情だけに流されることもない
でも、“不公平な風”が吹いているときは
ふいに、声をあげることがある

そのときの火は、静かで、まっすぐ

夜になると、塔の上で
空と交信しているらしい

ふいにひとつ、ひらめきが降りてきて
そこからいつも、あたらしい風がうまれている𓂃𓈒𓏸


𓂃

🌿 水瓶座さんの小さなプロフィール

⋆特技⋆
当たり前に染まらない
新しいものに、ちゅうちょせず手をのばせる
(だいたい一番乗り)

⋆趣味⋆
拾ったものをラボで洗って、未来の道具をつくる
ミステリーサークルづくり
(宇宙人の気持ちになって描いてたら、七不思議になってる)

⋆元気になる色⋆
ペールブルー、シルバーグレー

⋆癒されるアロマ⋆
ユーカリ、ネロリ、ミルラ

𓂃

🏕️ 星の谷のワンシーン

〜 今回、登場する星たちの関係性 〜

◎ 双子座さん:価値観が似ていて安心できる存在
 (調和/120度)
  
◎ 獅子座さん:正反対だけど深くつながれる存在
 (補完180度)
  
◎ 蠍座さん:ちょっとムッとすることも...
  でも、刺激をくれる存在(緊張90度)

さて、どんなふうに関わっているか
物語の中で感じてみてください𓂃𓈒𓏸

𓂃

🍿 星の谷をのぞく前に𓂃

この物語に出てくるキャラたちは 
星座(サイン)の特徴を
純度100%・生搾り(!?)で描いております𓈒𓂂

現実のわたしたちは  
いろんな星(天体)の性質が混ざり合って生きているので

「いや、私こんな性格ちゃうねんけど!?」
と思っても、ご安心を^^

星の谷では
各サインの“純粋なテンション”だけで  
ゆるっとお届けしています

どこかに、自分のかけらが見つかるかも ──  
そんな気持ちで、のんびり読んでもらえたらうれしいです◎


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📚『 水瓶座さんと、風と未来の放送局 』

水瓶座さんは、
朝からめずらしく、そわそわしていた

今日は、ラボ広場にできた放送局が
はじめて音を鳴らす日だった

きっかけは、
いつかの双子座さんとのやりとり──
「この村にも、放送局、つくろうよ」

ふたりの「わくわくの種」が
星の谷に、ここからひろがっていく



その日の正午、
できたばかりの放送局から
はじまりの音楽が流れ出す𓂃♪

「はろはろ〜♪ DJ双子です!」

「いよいよ本日より、
 “風と未来のラジオ”はじまりまーす!」

マイクの前には、
双子座さんとゲストの獅子座さん

水瓶座さんは、
ブースの隅で黙々と音量を調整していた

ことばの風が、ちゃんと届いているか──
一番深く聴いていたのは、水瓶座さんだった



番組の終わり、
双子座さんがハガキを取り出した

「さ〜て、お悩みコーナーのお時間♪
 “未来の風にきいてみた”です!」

────
ラジオネーム:「深海の民」

もう何年も推し活をしています。
でも、恥ずかしくてライブには行けません。  
周りにも“好き”って言えていなくて……

この前、推しカラーのグッズを見つけて、
「ちょっとならバレないかも」と思ったけど、
結局、買えませんでした。

このまま、こっそり応援していてもいいのでしょうか?

────

「うれしいなぁ♪
 こういうの、来てほしかったんだよね」

「獅子座さん、どう思います?」

獅子座さんは少し考えてから、
やわらかく口を開いた

「“好き”って、出せない日もありますよね」
「でも、心の中にあるなら、その気持ちは、
 もう十分届いてるんだと思います」

「おおお、沁みる…」
双子座さんがうなずいたあと、
ブースの隅を向く

「水瓶座さんは?どう思う?」

「……ぼく、ただの機材係なんだけど」

水瓶座さんは、つぶやきながら
静かにマイクのボリュームを上げた

「こっそり応援するって、
 その人だけの静かな自由だと思うんです」

「誰に言わなくても、見せなくても
 その気持ちを自分で大事にできてたら
 それだけで、もうすごく美しいんじゃないかなって」

一瞬、スタジオの空気がやわらかくなる𓂃

ひとりは光のあたたかさで  
もうひとりは、風のまなざしで──  
それぞれの“好き”をそっと肯定していた



「どっちも名言すぎる…ステッカーにしよ」
双子座さんは、封筒をごそごそした

「“深海の民”さん、ありがとうございました!
 名言入りステッカー、送っておきます♪」

「……今、作ったの?」
水瓶座さんがつぶやく

双子座さんは
にこっとウインクしてみせた

「さて来週も〜」  
双子座さんが軽やかにマイクに向かう

「水瓶座さんと一緒に、
 みなさんのお悩みに風を送りまーす♪」

「……ぼく、ただの機材係なんだけど」

水瓶座さんの声が流れた頃には  
エンディング曲が始まっていた──


今日もまた、水瓶座さんは
星の谷を吹きぬける それぞれの風に
「そのままでいい」と、小さくうなずいてくれるのでした𓂃𓈒𓏸



──数日後、資料館の蠍座さんの机の上  
名言ステッカーと、推しカラーの花が
そっと飾られていたらしい𓂃


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次回は、星の谷で冬と春の間に生まれた
魚座さんをご紹介しますね𓂃

また、静かな村の風景のなかでお待ちしています🕯


星と月とくらす Yuri 


2025-05-22 18:00:00

星の谷の住人たち|山羊座さんが、はじまりを支えるとき

山羊座さん.PNG


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🌙 星の谷の住人たち

ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆
12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所

🕯 星の谷のはじまりのお話しは こちらから

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🌕 星たちの関係性を、物語で感じてみよう𓂃

星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります

心地よく響きあったり
真逆だけど惹かれあったり
ときにはすれ違ったり──

読んでいくうちに
星たちの“関係性”も感じてみてくださいね𓂃𓈒𓏸


今回は──
❄️冬のはじまりに生まれた、山羊座さんが主役

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♑︎ 山羊座さん|未来の土台を、そっとととのえるひと


〜 村の建築士 〜

村の建築士である山羊座さんは、
完成図が見えてから動きだす

だから、無駄がない
慌てない、途中でブレない

落ち着いて見えるのは
やることが決まっているから

自分にも人にも、まっすぐでいたいひと

そのまなざしに“厳しさ”を感じるときは、
きっと、どこかにごまかしがあるとき

本気でがんばってる人には
とってもあたたかい

やさしさは、だいたい行動で伝わるタイプ

誰かを引っ張ろうとはしない
でも、仕組みや土台を整えて
気づけば、みんなが立てる場所をつくってる

「山羊座さんがいると安心する」
って言葉に弱いのは、ヒミツ

今日も──
山羊座さんがつくった基盤のうえで
この谷の暮らしがまわっていく𓂃𓈒𓏸


𓂃

🌿 山羊座さんの小さなプロフィール

⋆特技⋆
海外旅行でも小さなかばんひとつで行ける
集合場所にいつも一番はやく着いてる
(先回りのプロと呼ばれてる)

⋆趣味⋆
毎朝、同じ手順でコーヒーを淹れて整う
村の滝めぐり(いつか滝行したいと思ってる)

⋆元気になる色⋆
モスグリーン、スモーキーラベンダー

⋆癒されるアロマ⋆
ベチバー、サイプレス、フランキンセンス

𓂃

🏕️ 星の谷のワンシーン

〜 今回、登場する星たちの関係性 〜

◎ 牡牛座さん:価値観が似ていて安心できる存在
 (調和/120度)
  
◎ 蟹座さん:正反対だけど深くつながれる存在
 (補完180度)
  
◎ 天秤座さん:ちょっとムッとすることも...
  でも、刺激をくれる存在(緊張90度)

さて、どんなふうに関わっているか
物語の中で感じてみてください𓂃𓈒𓏸

𓂃

🍿 星の谷をのぞく前に𓂃

この物語に出てくるキャラたちは 
星座(サイン)の特徴を
純度100%・生搾り(!?)で描いております𓈒𓂂

現実のわたしたちは  
いろんな星(天体)の性質が混ざり合って生きているので

「いや、私こんな性格ちゃうねんけど!?」
と思っても、ご安心を^^

星の谷では
各サインの“純粋なテンション”だけで  
ゆるっとお届けしています

どこかに、自分のかけらが見つかるかも ──  
そんな気持ちで、のんびり読んでもらえたらうれしいです◎


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📚『 山羊座さんが、はじまりを支えるとき 』

今回は、星の谷のみんなが
もう少し若かった頃のお話し𓂃𓈒𓏸


「やっぱり、わたしには無理かも……」

蟹座さんはバスケットを抱えて、
足元を見つめていた

その中には、
新しい食堂の試作スープが入っている

あたたかい湯気とやさしい香り
けれど、本人は浮かない顔だった

「……誰も来なかったら、どうしよう」

山羊座さんは
蟹座さんのとなりに立ち、ぽつりと言った

「じゃあ、ちょっと寄り道しようか」



まず訪れたのは、アンティーク雑貨店
──牡牛座さんのお店

店に入ると、
木と紅茶の香りにふわりと包まれる

「牡牛座さんが、
 初めて相談に来たときはね……」

山羊座さんが話しかけたとき、

「……何も説明できなかったよね」
牡牛座さんが、微笑みながらあらわれた

「“たぶん、こういうのが落ち着く”って、
 それしか言えなかったの」

山羊座さんも、そっと笑う
「でも、それが一番、伝わってたと思うよ」

「言葉が足りなくても、山羊座さんは、
 ちゃんと“わたし”を読んでくれたんだと思う」

そう言って牡牛座さんは、
茶葉の缶を手渡してくれた

「新しいお店にどうぞ
 わたしのいちばんのお気に入り」

蟹座さんは、胸に抱くように受け取った



つぎに訪れたのは、村のギャラリーカフェ
──天秤座さんのお店

柱の前に立つと、
山羊座さんがふっと苦笑いする

「……ここはね、正直、大変だった」

「えっ、そうなの!?」

目を丸くする蟹座さんの前に
ライラック色のストールが揺れる

「ようこそ〜♪
 今日は建築現場じゃなくておさんぽ?」

天秤座さんは嬉しそうに
思い出し笑いをこぼす

「あのとき、山羊座さんすごい顔してたよね〜」

「“この柱、細いほうが可愛い!”って、10回は言った!」

山羊座さんは肩をすくませながら、
「……結果的に、この柱、人気なんだよな」とポツリ

天秤座さんはくすくす笑いながら、
店の奥から小箱を持ってきた

「これ、あなたのお店にも合うと思う」
中には、真鍮の小さなベル

「音って、気配にもなるから
 ドアにつけるといいよ♪」

蟹座さんが、ベルをそっと鳴らす
カラン、と軽やかな音が響いた



帰り道、ふたりは少しだけ静かに歩いた

蟹座さんが、
ふと立ち止まってつぶやいた

「……ねえ、
 あの草の広場に食堂があったら、どう思う?」

山羊座さんは、
すこしだけ口元をゆるめて答えた

「朝の光がよく入るし、風も通る
 ──火を入れるには、ちょうどいい場所だと思う」

蟹座さんは、小さくうなずいた
「……わたし、やってみようかな」

その言葉を、
山羊座さんは、ただ静かに受けとった



── それから数年後
あの広場には、朝から湯気のたつ食堂がある

窓を開け、火を入れるのは、
あの日の蟹座さん

山羊座さんが、
ゆるんできたテーブルの脚をしめていると

「ちょっと、朝から飛ばしすぎよ〜」
蟹座さんの声がふわりと飛んできた

そして、甘さひかえめのプリンが
そっと差し出される

不安そうに足元を見ていた
蟹座さんはもういない──


今日もまた、山羊座さんは
星の谷で土台をととのえながら
みんなの未来を、静かに支えている𓂃𓈒𓏸


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次回は、星の谷で冬の真ん中に生まれた
水瓶座さんをご紹介しますね𓂃

また、静かな村の風景のなかでお待ちしています🕯


星と月とくらす Yuri 


2025-05-19 19:00:00

星の谷の住人たち|射手座さんが、新しい地図を広げるとき

射手座さん.PNG


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🌙 星の谷の住人たち

ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆
12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所

🕯 星の谷のはじまりのお話しは こちらから

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🌕 星たちの関係性を、物語で感じてみよう𓂃

星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります

心地よく響きあったり
真逆だけど惹かれあったり
ときにはすれ違ったり──

読んでいくうちに
星たちの“関係性”も感じてみてくださいね𓂃𓈒𓏸


今回は──
🫖秋と冬の間に生まれた、射手座さんが主役

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♐︎ 射手座さん|まだ見ぬ世界へ、わくわくを届けるひと


〜 村の旅の案内人 〜

地図とコンパスを片手に
「こっち、行ってみない?」と風のように誘う

知らないことにワクワクして
答えのない問いにも、真っすぐ夢中になれるひと

「ほんとうの幸せって、なんだろう?」

そんな話をする時間が、
実はいちばん好きだったりする

誰といても自然体でいられるけど、
いつの間にか、自分のリズムを置いてきてしまうことがある

でも、旅に出ればすぐ思い出す
「やっぱり、世界はおもしろい」ってこと

「後悔? してるヒマないって〜!」

そう言って笑う声が
気づけば誰かの旅のはじまりになっている𓂃𓈒𓏸

そして旅から帰ると──
たいてい財布をどこかに忘れている
(それもまた冒険)


𓂃

🌿 射手座さんの小さなプロフィール


⋆特技⋆
フェスも哲学も、全力で楽しめる
風の匂いで方向とタイミングがわかる

⋆趣味⋆
偉人の名言をこっそり手帳に書きためる
思いつきで旅に出る
(ちょっとそこまでが別の国)

⋆元気になる色⋆
ターコイズブルー、サフランイエロー

⋆癒されるアロマ⋆
ジュニパー、メイチャン、ベルガモット


𓂃

🏕️ 星の谷のワンシーン

〜 今回、登場する星たちの関係性 〜

◎ 牡羊座さん:価値観が似ていて安心できる存在
 (調和/120度)
  
◎ 双子座さん:正反対だけど深くつながれる存在
 (補完180度)
  
◎ 乙女座さん:ちょっとムッとすることも...
  でも、刺激をくれる存在(緊張90度)

さて、どんなふうに関わっているか
物語の中で感じてみてください𓂃𓈒𓏸

𓂃

🍿 星の谷をのぞく前に𓂃

この物語に出てくるキャラたちは 
星座(サイン)の特徴を
純度100%・生搾り(!?)で描いております𓈒𓂂

現実のわたしたちは  
いろんな星(天体)の性質が混ざり合って生きているので

「いや、私こんな性格ちゃうねんけど!?」
と思っても、ご安心を^^

星の谷では
各サインの“純粋なテンション”だけで  
ゆるっとお届けしています

どこかに、自分のかけらが見つかるかも ──  
そんな気持ちで、のんびり読んでもらえたらうれしいです◎


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📚『 射手座さんが、新しい地図を広げるとき 』

射手座さんは
毎晩、焚き火をしながら
夜空を見上げるのが日課だった

その夜は、
火の揺れ方がいつもと違っていた

なんとなく気付いていた──
(そろそろ “どこか” が呼んでいる)

……それは まだ知らない自分の声かもしれない

空を見上げて、そう思ったとき
ある人の顔が浮かんだ



翌朝、向かったのは、
いつものハーブ屋さん

「遅かったわね、今日も」

乙女座さんが、
カウンターの奥から現れて、腰に手をあてる

「今週中に取りに来てって言ったの、聞いてた?」

「うん、うん、聞いてたよ〜
 ……でも、今日は来たから、セーフでしょ?」

「ぎりぎりね」

射手座さんはちょっと笑って
出されたブレンドハーブを受け取った

「財布は? 地図は? あと、メモとか」

「あるある……たぶん」

「“たぶん”って何よ」

乙女座さんはあきれながらも
小さな袋を差し出した

飴、絆創膏、予備のタオル──

「いつもありがとう
 ……これで、安心して迷えるや」

乙女座さんはため息をひとつ

「ほんと、ほっとけないんだから」

とブツブツ言いながら、
いつもの仕事に戻っていった



広場を通ると風のように、
双子座さんが駆け寄ってきた

「ねぇねぇ聞いて!地図にない場所に
 星のカケラが落ちてたらしいの
 拾ったら願いが叶うって話で──」

「……それ、どこの情報?」

「となり村の誰かの
 誰か……の夢の話かも?笑」

射手座さんは、ふと立ち止まった
(ワクワクする…でも、それって本当に探す意味があるのかな?)

風の音が、
すこし遠くなったような気がした



そのとき、背後から声がした
「……ワクワクするなら、行ってみない?」

びっくりして、ふり返ると──

牡羊座さんが準備万端の顔で
リュックを背負い、空を見上げている

「……って、なんでいるの? 
 誘ってないけど?笑」

「風がいい感じだったから」

どこまでもピュアで、まっすぐな目

「ほら、行こうよ!」

射手座さんは肩をすくめて、ふっと笑った
(始まりの火をくれるのは、やっぱりこの人だ)


空を見上げると
雲のかたちは、さっきよりも自由で
風もまた、ゆっくりと動きはじめていた

「さぁ、出発しよう!」

射手座さんと牡羊座さんの足音が
風の音とまじわりながら重なっていく



射手座さんが旅に出るのは
まだ知らない自分に出会うため

そして、その背中が
誰かの 新しい地図をそっとひらくこともある

星の谷には、今日も射手座さんの
「あなたはどこへ行きたい?」の声が
あたたかい風にのって、ひろがっていくのです𓂃𓈒𓏸


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次回は、星の谷で冬の始まりに生まれた
山羊座さんをご紹介しますね𓂃

また、静かな村の風景のなかでお待ちしています🕯


星と月とくらす Yuri 


2025-05-18 19:00:00

星の谷の住人たち|蠍座さんと 星灯(ほしび)まつり

蠍座さん.png


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🌙 星の谷の住人たち

ここは、内なる世界に広がる『 星の谷 』𓂃⋆
12人の星座が、それぞれのリズムで暮らす場所

🕯 星の谷のはじまりのお話しは こちらから

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🌕 星たちの関係性を、物語で感じてみよう𓂃

星座同士にも人間関係のように
じつは“ちょっとした関係性”があります

心地よく響きあったり
真逆だけど惹かれあったり
ときにはすれ違ったり──

読んでいくうちに
星たちの“関係性”も感じてみてくださいね𓂃𓈒𓏸


今回は──
🫖秋の真ん中に生まれた、蠍座さんが主役

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♏︎ 蠍座さん|記憶と想いを、静かに見守るひと


〜 村の資料館の管理人 〜

村の奥にある資料館には
古い言い伝えや、誰かの出せなかった手紙が眠っている

そこを静かに見守るのが、蠍座さんの役目

一度、心で結んだものは
かんたんにはほどけない

それを特別だとも思わない
「だって、そういうものだから」

本音は、深いところに住んでいて
ちょっとやそっとじゃ出てこない
(本人も、たまに行方を見失ってる)

お気に入りの詩集と
昔から変わらないパッケージのお菓子
それがあれば、心がやすらぐ

誰にも見せないけど
よく見て、よく覚えてる
でも、言わない

その背中に、ふっと安心する人もいる

今日もそっと
村の奥の扉の向こうで
だれかの想いを、だいじに守っている𓂃𓈒𓏸

𓂃

🌿 蠍座さんの小さなプロフィール


⋆特技⋆
オーラで語る(本人は無自覚らしい)
プロローグで犯人を察する(でも言わない)

⋆趣味⋆
星の木の観察日記(そろそろ10年目)
推しの記念日を、こっそりケーキでお祝い

⋆元気になる色⋆
ボルドー、アッシュピンク

⋆癒されるアロマ⋆
サンダルウッド、パチュリ、ローズ


𓂃

🏕️ 星の谷のワンシーン

〜 今回、登場する星たちの関係性 〜

◎ 魚座さん:価値観が似ていて安心できる存在
 (調和/120度)
  
◎ 牡牛座さん:正反対だけど深くつながれる存在
 (補完180度)
  
◎ 獅子座さん:ちょっとムッとすることも...
  でも、刺激をくれる存在(緊張90度)

さて、どんなふうに関わっているか
物語の中で感じてみてください𓂃𓈒𓏸

𓂃

🍿 星の谷をのぞく前に𓂃

この物語に出てくるキャラたちは 
星座(サイン)の特徴を
純度100%・生搾り(!?)で描いております𓈒𓂂

現実のわたしたちは  
いろんな星(天体)の性質が混ざり合って生きているので

「いや、私こんな性格ちゃうねんけど!?」
と思っても、ご安心を^^

星の谷では
各サインの“純粋なテンション”だけで  
ゆるっとお届けしています

どこかに、自分のかけらが見つかるかも ──  
そんな気持ちで、のんびり読んでもらえたらうれしいです◎


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📚『 蠍座さんと 星灯(ほしび)まつり 』

星の谷の奥にある資料館──

古い地図や祭りの記録、言い伝え、
表向きは、どこにでもある資料館

でも、いちばん奥の扉の向こうには
最後まで出せなかった手紙や
捨てられない贈りもの

誰かの手放せなかった想いが
そっと、保管されている

それらを、ずっと見守っているのが
蠍座さんの、もうひとつの役目だった



資料館を閉めると
蠍座さんは、毎晩どこかへと向かう

ランタンと記録帳を手に向かうのは、
大きな木がある、空にいちばん近い丘──

その木は『星の木』と呼ばれ
もう何年も花を咲かせていない

観察記録が十年たった頃、
枝のひとつに、小さな蕾をみつけた

「いよいよか……」
そう呟くと、彼女はそっと姿勢を正した



翌朝、蠍座さんは
蕾の意味を確かめるために
星の谷の古い資料を、そっと読み返していた

────
『星灯(ほしび)まつり』
─ 出典:星の谷のはじまりより ─

星灯まつりとは、
手放せなかった想いや願いを、空へ還すための習わしである。

誰かの準備がととのうと、星の木に蕾がつき、
その想いが空へ還ったとき、心の灯りとなると伝えられている。

— 実施の条件 —
・星の木が蕾をつけた年の、最初の新月に行うこと
・まつりの合図は、想いの守り人が知らせること
・まつりは、光を創る者の手で執り行うこと
────

蠍座さんは、パタンと資料を閉じた



その日の午後、
魚座さんがふわりと、資料館を訪ねてきた

「星の木の上に光が降ってくる夢を見たの」

蠍座さんは 深くうなずいた
「やっぱり……そうだよね」

それだけで、ふたりには十分だった



夕暮れどき、
資料館に牡牛座さんが訪ねて来て、ぽつりと言う

「そろそろ あの手紙……手放していいかも」

それは、もう何年も前からある手紙だった

「あなただったのね……」
蠍座さんは、胸の中でつぶやいた



翌日、蠍座さんは重い腰を上げ、
演出家の獅子座さんを訪ねた

星の谷で光を創る者──
獅子座さんで、間違いないはず

「次の新月、星灯まつりです」

「ついにきたね!
最高の光で還す準備をしておくよ」

迷いのない、太陽みたいな笑顔に
蠍座さんは、肩の力が少し抜けた



そして、
星灯(ほしび)まつりの夜──

風は止み、星の木のまわりには
もう手放してもいい想いや記憶が
小さな灯りとともに、集まってくる

獅子座さんの合図で
やさしく光を放ちながら、
次々と夜空へ還っていく


夜風にのって
魚座さんのハープの音が美しく響いていた

言葉にならない想いたちを
そっと包むような音色だった


ふと、蠍座さんは
牡牛座さんの姿を見つけた

資料館ではまだ少し寂しそうだった顔に
やわらかな笑顔が咲いていた

「これが、星灯まつりか……」

蠍座さんの心にも
小さな灯りが、ともった



翌朝の資料館、
とくに変わったようすはない

でも、奥の扉に眠る想いたちは
どこか、やわらかく 息づいているようだった


星の谷の奥深く──

蠍座さんは、今日も変わらず
まだ手放せない想いたちを
静かに、見守っています𓂃𓈒𓏸


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次回は、星の谷で秋と冬の間に生まれた
射手座さんをご紹介しますね𓂃

また、静かな村の風景のなかでお待ちしています🕯


星と月とくらす Yuri 


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